恐怖
戦いがおこると、世界各地の人々の怒りや悲しみといった感情が伝えられる。
私は怒りよりも、悲しみよりも、恐怖という感情の占める割合が一番多い。
戦争映画、ドラマはたくさんあるけれど、『私は貝になりたい』は私の中では衝撃的。
上官の命令に従ったことが仇となり死刑宣告を受けてしまう。
したくもない戦争に駆り出され、自分の意思を通すことなど許されなかった状況下での行動を戦後になって責められる。
一般人が戦犯になるということの恐ろしさ。誰も助けてくれない絶望。
確か主人公は理容師で小さな子どもと妻という家族がいた。
戦争から帰り、平和に暮らし始めたのに、戦犯として捕らえられる。
戦争が終わって、さぁこれから、という気持ちをどん底に突き落とす残酷な話だ。
しかし、戦争とはこういうことなのだろうな、と思う。
祖国のために、と戦う人のインタビューを見て思う。
そこには絶望しかないのに、美化されていないだろうか。
戦争は不条理だ。武器を持たされた時点で、もう道理など通用しない。
そんな恐ろしいこと、あってよいわけがない。